運動速度による筋肉痛と筋機能
1. カーフレイズ運動を異なる速度で行った場合、速い動作では筋束長がほぼ一定であり、腱組織が短縮・伸長することが確認されました。一方、遅い動作では筋束が短縮・伸長し、腱組織の伸長がほとんど見られなかったです。
2. しかし、運動後に生じた遅発性筋肉痛の程度や筋力、関節可動域の変化には、動作速度による差は認められませんでした。
3. これらの結果から、カーフレイズ運動によって引き起こされる筋肉痛や筋機能の変化は、運動中の筋腱複合体の動態に由来するのではなく、むしろ関節の仕事量に依存している可能性が示唆されました。
つまり、動作速度を変えても筋肉痛や筋機能の変化に差がなかったことから、遅発性筋肉痛のメカニズムには筋腱複合体の動態よりも、関節の仕事量が重要な要因であると考えられます。この知見は、運動処方の際の動作速度設定に有用な示唆を与えるものです。
【実用例】
例えば、フィジカルトレーナーがクライアントにカーフレイズ運動を指導する場合、クライアントのニーズや目標に応じて動作速度を調整することができます。筋力向上を目指す場合でも、遅い動作と速い動作のどちらでも効果が期待できるため、クライアントの好みや体力レベルに応じて適切な速度を選択することができます。また、筋肉痛を避けたい場合でも、速さを変えることで大きな違いがない